南西急行電鉄研究会

9000系

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9000系先頭部

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9000系編成構成

1.登場の経緯

 9000系は、従来の7000系改の置き換え用として平成17年10月に登場した「電気・軌道総合検測車」である。

 7000系改は旧特急車7000系に軌道・電力関係の測定機器を搭載した車両だが、

  • 所詮は改造車で、使い勝手が悪い
  • 幅広車であるため東京メトロ谷町線を通過できず、新東武鉄道側の借用要請に応じられない
  • 近年の測定技術の進歩に対し機器が陳腐化している

 等の問題があった。

 そこで、南西急行は平成13年度から検測車更新の研究を開始し、JR東日本および日立の技術を導入することで低コストで調達できる見通しを得て、新型車9000系の建造に踏み切ったのである。平成17年10月の運用開始以来、関浜車両所を拠点として、南西急行線内を1ヶ月に1回、東京メトロ谷町線および新東武鉄道線内を3ヶ月に1回走行して測定データを取得しており、各線の安全・安定輸送とメンテナンスコストの低減に大きく寄与している。

2.主な仕様

 車両限界は地下鉄用が適用され、東京メトロ谷町線を介して新東武鉄道へも入線できる。車体は6000系と共通設計として設計費の削減が図られている。編成は4両で、1号車に軌道関係、2号車に電力関係、4号車に信号・通信関係の測定台があるが、センサー類は目的に応じて編成の各所に分散して装備されている。3号車は見学者に対応した添乗用車両で、必要があれば編成から抜くこともできる。

 9000系の特徴は、パンタグラフが1編成に3台搭載されていることで、3台のうち中央が測定用(集電兼用)、両側が集電用であり、常に測定用パンタが前になるように走行方向によって運用を変えている。また、乗客を大量に乗せない建前から、空調装置を低容量化して車端部床上に搭載するなどのコストダウンもなされている。

3.各車の概要

(1)Tc9011 軌道検測車

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1号車:Tc9011

 軌道検測車。軌道に起因する車両の振動(すなわち乗り心地)、車体の変状、軌道の変状、上下線の軌道中心間隔、PQ(軸重・横圧)、建築限界内の支障物(これは4号車にセンサーがある)等の測定データを収集する。

 この車両は、車体の曲げを測定するレーザー・センサーが車体床上を通っているため浮き床構造(200mm)となっており、他の車両より天井が低い。

 車体中央には、軌道中心間隔測定用のセンサーがある。

 運転台側の屋根上には電力(架線)測定用のレーザー・センサー・ユニットが搭載されている。同じものは4号車後位側にもあるが、1号車のセンサーは下り走行の場合に動作する。これは、レーザー・センサーを常にパンタグラフの前にして、パンタによる架線振動が測定に悪影響を与えないようにするためである。

 運転台は、運転士の居住性改善と画像撮影装置搭載のため、6000系より前後寸法が拡大されている。画像撮影装置には前面展望用・線路設備用・架線設備用の3組のカメラがセットされ、設備の状態変化をステレオ画像で把握できるようになっている。

(2)M9012 電力検測車

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2号車:M9012

 電力用検測車で、測定項目は、オーバーラップ離隔・わたり線離隔、トロリ線高さ・偏位・摩耗、電柱位置(以上は1・4号車のセンサー・ユニットで測定)、光学式離線率、電流式離線率、パンタグラフ衝撃、パンタグラフ接触力、架線電圧など。

 屋根上のパンタグラフのうち後位側が集電・測定兼用パンタグラフで、光ファイバーセンサーを満載したハイテクの塊となっている。

 このテの検測車にはパンタグラフ監視台が付き物だが、9000系ではパンタグラフは全てCCDカメラで監視するため、監視台は無い。

 後位側には、測定スタッフのためのギャレー(台所)があり、冷蔵庫、湯沸ポット、電子レンジ、流し台などが備えられている。

(3)M'9013 添乗車

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3号車:M'9013

 学校の社会科見学等に対応するための添乗車で、前位側に特急車と同じ構成のトイレ・洗面所を設けている。また、後位側には更衣室があり、添乗者や検査スタッフの便を図っている。

 客室には新設計のリクライニングシートがピッチ900mmで48席配置されている。客室両端の壁には大型ディスプレイが計4面設けられていて、先頭車の画像撮影装置や、パンタグラフ監視カメラ、測定モニタからの画像を表示できる。また、後位側の機器室にはAVシステムがあり、南西急行や9000系についてのプロモーションビデオおよびプレゼンテーションを表示することも可能。噂ではカラオケもできるらしい。

 後位側のパンタグラフは、下り走行のときのみ、集電用パンタグラフとして使用する。この車両は測定にはほとんど関わらないので、必要なときは編成から抜いて走行することもできる(ただしトイレが無くなってしまうが…)。

(4)Tc'9014 信号・通信検測車

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4号車:Tc'9014

 信号・通信関係の測定車だが、車体中央には軌道の建築限界測定装置、後位側には電力(架線)用のレーザー・センサー・ユニット(上り走行の場合に使用)がある。

 この車両は、車体を中央部で切断して、建築限界測定装置のドーナツ状のセンサー・ユニットを挟み込んで最接合する形で構成されていて、他の車両とは構造が全く異なる。電気配線、空気配管、空調のダクト等もこのドーナツの中央部を通っている。

 信通の測定項目としては、列車無線の受信レベル、チャンネル自動切換装置の応答時間、ATC信号・TSP-ATS信号の受信レベル、軌道回路電流・波形等がある。なお、信通関係の測定は南西急行線内区間においても3ヶ月に1回実施となっている。


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