南西急行電鉄研究会

運賃・料金


1.普通運賃

 南西急行の運賃は、大手私鉄各社の中では最も高水準であり、100kmまでの区間ではJRの電車特定区間運賃よりも1~2割高く、101km以上の距離になってやっとJR並みかそれを下回る水準となる。この運賃体系は、南西急行が輸送需要を事実上独占している東京~湾岸地区間で高収益を上げることが狙いと見られる。また、旧京神電鉄区間はもともと高額運賃を徴収しており、その名残で近距離が高くなる傾向が強い。

 南西急行はいわゆる高度成長期以後に巨費を投じた工事プロジェクトによって現在の設備を整えているので、設備投資によって生じた長期債務を償還するために高額運賃を徴収せざるを得ないという事情があるのだが、それでもこの運賃の高さについては批判の声が強いのも事実である。

 平成26年4月1日より消費税8%化に伴う運転改定を実施し、その際に1円刻みのICカード運賃を新たに設定している。令和元年10月1日には消費税10%化に伴い再度改定された。

運賃・料金/運賃表.png
表1.対キロ運賃表
運賃・料金/運賃表2.png
表2.主要駅間運賃表

2.定期券・回数券

 南西急行の定期運賃の計算はJRとほぼ同様であり、普通運賃に対して1ヶ月用については30倍、3ヶ月用については84倍、6ヶ月用については144倍した金額が概ね定期運賃になる。

 通学定期については通勤定期運賃に対して距離に応じた低減率を乗じて算出する。具体的な低減率は省略するが、概して遠距離通学者を優遇するようになっている。

 回数券は普通回数券のみ発売しているが、利用区間はあらかじめ指定されるものの、12枚で10枚分の金額という破格のサービスである。

3.特急料金・グリーン料金

(1)特急料金

 南西急行の特急料金は以下のようになっている。

距離特急料金
~50km530円
51~100km740円
101km~950円

 ただし、

  • 美咲空港以遠の各駅相互間では530円均一
  • 青海線・水澄線で特急同士を美咲で乗り継ぐ場合は距離を通算

 以上の特例を適用しており、実質的に東京・神津発着の利用のみが割増となるような料金形態になっている。

 東京メトロ谷町線に直通する特急「ひよどり」では、谷町線内の特急料金は210円均一で設定されている。ただし、南西急行区間との直通利用に限定して発売される。

運賃・料金/特急料金表.png
表3.主要駅間特急料金表

(2)グリーン料金

 特急列車のグリーン料金は区間に関わらず一律530円である。7400系7800系の4号車と、7600系お座敷仕様車6400系欧風仕様車が対象。

 一方、平成21年度よりサービスが開始された緩行線(NEWS-Line)のグリーン車はSuicaによる決済を前提としており、下表のような料金体系となっている。東京メトロ谷町線内でも420円というのは割高のように思えるが、これは、グリーン車設定の趣旨が南西急行および新東武へ直通する足の長い乗客への着席サービス提供にあり、谷町線内のみの利用を忌避させる意図がある。

南西急行線東京メトロ谷町線新東武鉄道
各社線内のみ利用の場合420円420円420円
2社にまたがって利用の場合630円
630円
3社にまたがって利用の場合840円

4.プリペイドカードとストアードフェアシステム

 南西急行のプリペイドカード「Sカード」は、民鉄ではかなり遅く平成6年に発売された。南西急行の運賃は高いのでプリペイドカードも高額化せざるを得ず、贈答用等の需要が見込めないために、ストアードフェアシステムの導入まで発売を差し控えていたのである。つまり、Sカードは登場当初からSFシステム用であった。

 平成12年には関東民鉄各社で共通に使用できる「パスネット」に発展した。発売額は1000円、3000円、5000円の3種類。

 平成19年3月のPASMOのサービス開始に伴い、Sカードの取り扱いは終了した。

5.Suicaについて

 南西急行は、平成14年11月から、JR東日本が開発したICカード"Suica"を使用開始した。JR東以外でのSuica導入の第一号である。導入の動機は、南西急行とJRの接続駅が新宿駅渋谷駅恵比寿駅紅林駅新神津駅神津駅美咲空港駅美咲駅桂木町駅矢積駅と10駅を数え、乗り換え客が非常に多いため「JRだけICカードが使えて南西急行は使えない」という事態を避けたかったことによる。南西急行の社員の一人が埼京線で行われたICカード定期券のモニターになって便利さに驚き、社内で積極的に導入を働きかけたという話もあるようだ。

 Suicaの運用に関するルールはJR東と全く同じで、ViewSuicaやMobileSuicaも当然使えるようになっている。Suica導入に伴う設備投資は巨額なものになったが、南西急行では「将来のPASMO移行を見通せば先行投資として妥当」としている。そのPASMOについては、南西急行はあくまでSuica陣営として参加しており、PASMO導入時のカード在庫不足のトラブルに巻き込まれずに済むなど、先行組としてのメリットを十分に享受していると言える。

6.各種企画切符

 南西急行は多種多様な輸送需要を担っているが、その割には企画切符の類は少ない。これは、運賃・料金制度を極力単純化するためだが、Suicaの導入により都市間輸送に関する一般向け企画切符を整理したという経緯もある。一方、JRの各駅からは南西急行の沿線を目的地とした企画切符や旅行商品が多数発売されており、沿線外からの誘客が重視されていることが判る。

エアポートアクセスきっぷ
AA切符と通称される。美咲空港から特急列車を利用して東京側の各駅で東京メトロ・都営地下鉄に乗り換え、地下鉄内の任意の駅で下車できるという破格の利便性を誇る。発売額は2,000円で、普通運賃+特急料金よりも安い。この切符は上り特急の利用率を向上させることが目的なので、美咲空港発しか設定されていない。
ベイエリアフリーパス
神津~美咲間の湾岸地区の回遊性を高めるために設定された切符で、同区間がフリー乗車区間となり、南西急行の任意の駅から往復することができる。発売額は、神津以北の駅からの場合は発駅から美咲までの往復運賃+320円。美咲以南・以西の駅からの場合は発駅から神津までの往復運賃+320円、3日間有効。
青海半島フリーパス
八浦~青海ヶ浦間をフリー乗車区間とし、フリー乗車区間以外の南西急行各駅から往復できる。また、フリー乗車区間の各駅から発着しているバスにも乗り放題で、3日間有効。発売額は新宿・渋谷発が5500円、神津発が4500円、美咲発が3500円で、特急に乗車するには別途特急券が必要。
水澄フリーパス
戸張~水澄間をフリー乗車区間とし、フリー乗車区間以外の南西急行各駅から往復できる。また、フリー乗車区間の各駅から発着しているバスと水澄登山電鉄、水澄ロープウェーも乗り放題で、3日間有効。発売額は新宿・渋谷発が6600円、神津発が5500円、美咲発が4500円で、青海フリーパスより1000円少々高くなっている。これは、登山電車とロープウェーの運賃・料金が高額であることによる。特急に乗車するには別途特急券が必要。
南西急行ビジネスきっぷ
南西急行の法人営業部隊が得意企業向けに対面で発売する50枚単位の回数券で、実はこれこそが南西急行の主力商品である。発売区間は任意で、割引率は20%であり、回数券の約17%を凌駕する。特急料金込みのものもあり、特急料金も20%引になる。南西急行が高額運賃にも関わらず都市間輸送で一定の競争力を確保できるのはまさにこの企画切符の存在によっている。きっぷの券面には、発売先の企業名が大きく表示されるので、金券ショップへ転売すると速攻でバレ、南西急行側はその企業とは取引を中止することを明言している。南西急行の社員が定期的に金券ショップに出入りして流出していないか監視したり、自動改札機で収集したデータを元に1枚1枚の切符を追跡して利用実態を調査しているという噂すらある。このきっぷは、南西急行の大株主であるX県の地元企業優遇策の一環として導入されたものだが、当然ながらある筋からは「大企業重視!」との批判もある。


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