線路設備
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1.線路設備
南西急行の営業キロ延長は233.5km、単線延長は591.1km。以下にその内訳を示す。車両基地等を含めた線路延長は600km以上に及ぶ。
南西急行の軌間は、過去に旧国鉄と直通運転を行っていたこともあり、全線が開業以来1067mmの狭軌である。運転最高速度は、平成4年10月のダイヤ改正時に110km/hから120km/hに向上されている。東京線の緩行線部分は100km/hで、東京線旗塚~新宿間、恵比寿支線、目黒台線、神宮線、八浦支線では速度制限が課せられている。
線区 | 区間 | 営業キロ | 単線延長 | 記事 | |
東京線系 | 東京線 | 美咲~新宿 | 63.0km | 180.0km | 旗塚~神津間は複々線 |
恵比寿支線 | 旗塚~恵比寿 | 1.5km | 3.0km | ||
目黒台線 | 旗塚~目黒台 | 3.2km | 6.4km | ||
神宮線 | 紅林~武蔵神宮 | 2.8km | 4.2km | 東城学園~武蔵神宮間は単線 | |
青海線 | 青海線 | 美咲~青海ヶ浦 | 81.0km | 162.0km | |
八浦支線 | 八浦~新八浦 | 1.5km | 2.5km | 新八浦駅構内に単線区間あり | |
水澄線 | 美咲~水澄 | 80.5km | 161.0km |
(1)軌道構造
バラスト軌道が中心であるが、東京線のうち神津トンネル内を含むいわゆる湾岸新線区間はスラブ軌道である。また、新宿駅構内から明治通トンネルにかけては、新宿駅改良に伴って平成5年10月から3年間にわたって営業を休止した際に直結軌道に改良しており、極めて珍しいケースとなっている。
近年は、JR東日本が開発したTC型省力化軌道を乾駅付近で試使用している。
(2)レール
本線の全線について50Nレール化(いわゆる重軌条化)を終えているが、車両基地内や留置線では40Nレールが残っている。ロングレール化率は80%で、急曲線以外の区間は全て完了している。
(3)まくらぎ
車両基地内や留置線を含めてほぼ全数のPCまくらぎ化が終わっている。レール締結装置はボルト式とパンドロール式が混在しているが、今後はメンテレス化が可能なパンドロール方式に統一されよう。分岐器部分には大型合成まくらぎが使われている。
(4)分岐器
南西急行は、ダブル・スリップ・スイッチおよびシングル・スリップ・スイッチ型のような特殊構造の分岐器を使用しないことを基本方針としている。ただし、高速運転に対応して紅林駅・乾駅・海浜公園駅・新長坂駅・新成原駅・砂町駅構内の急行線本線にはノーズ可動分岐器が導入されている。新長坂駅では、JR東日本が開発した「次世代分岐器」のテスト使用も行われている。
電気融雪器は、トングレール加熱型のものが全数の分岐器に取り付けられているが、標高が高く気温が低くなる水澄線戸張以西では床板加熱型の融雪器が追加されている。
2.線路構造物
(1)トンネル
南西急行にはトンネルが32箇所あり、延長は約35km。主なものとしては、明治通トンネル(新宿~渋谷)、目黒台トンネル(旗塚~目黒台)、神津トンネル(末木~狩野)、空港トンネル(砂町~美咲)、薙山トンネル(南条台)、神明峠トンネル(静町~神明峠)等がある。
また、恵比寿支線は新東京メトロ谷町線と同じ地下鉄の扱いであり、統計上もトンネルとは別項目である。建築限界も縮小されており、幅広車体の車両は恵比寿支線には乗り入れることはできない。
(2)橋梁
橋梁は長大なものから用水路を渡る極小規模なものまで含めて215箇所あり、延長は約22km。主なものとしては、多摩川橋梁(東仙寺~紅林)、空港島第1(砂町~美咲空港)、空港島第2(美咲空港~美咲)、旧聖川(渡木~矢積)、聖川(矢積~御幸台)等がある。
(3)高架橋
開業当初から高架構造であった箇所としては、渋谷駅付近、香堂駅付近、乾駅付近、狩野~美咲空港(除)間、神明峠駅付近がある。高架化工事が施工された区間としては、旗塚~紅林(除)間、美咲~桂木町~大倉間、美咲~館川町間、青葉ヶ丘~八浦間、桜崎~青海ヶ浦間、矢積~御幸台間がある。
3.メンテナンスの体制
現業機関として紅林・関浜・八浦・矢積の4箇所に「保線技術センター」が置かれている。
線路の検査は、電気・軌道総合検測車によって行われている。検測車は平成9年度に初導入され、平成17年度に新型車に切り換えられた。走行ペースは月1回。営業列車と同一のダイヤで走行しながら線路の変状を検出することができる。
バラスト突き固めや軌道整正、レール交換等の保守作業は南西急行の関連会社である湘南軌道エンジニアリング㈱(略称STEC)が行っている。STECは平成11年に南西急行と南武鉄道が共同出資して設立した会社で、路線が並行している両社の保線作業を請け負うことで経営資源を効率的に活用しているわけである。
STECが保有する保線機械のうち、南西急行の線路で使用するものは、マルチプル・タイタンパー4台、レール削正車1台をはじめ、軌道用モーターカー、バラスト運搬用トロリー、レール運搬用トロリー、軌陸トラック等で、特に軌陸車は狭軌の南西急行と標準軌の南武鉄道で共用できるように軌間が変更可能になっている。
保守基地
2019年度以降、南西急行では鉄道設備の保守・工事従事員の労働環境改善に乗り出し、その一環として、保守基地の増設を進めている。その目的は以下の2点。
- 保守用車の増備に対応し留置場所を確保する
- 作業場所への回送時間を短縮し保守間合における実作業時間を伸ばす
2021年度初時点における保守基地は下図のとおり。池尻・東仙寺・郡塚・麦田の4駅は令和3年3月ダイヤ改正で待避駅としての機能を使用停止されており、今後、保守用車基地として整備される。

4.防災体制
(1)強風対策
高架区間および橋梁部における強風対策としては、沿線に風速計を設け、観測された風速に応じて自動的に運転規制を出すシステムが構築されている。また、特に強風に見舞われる空港第1橋梁・第2橋梁についてはトラスに防風板を取り付ける工事が施工された。
(2)豪雨対策
切通しや盛土区間の多い青海線・水澄線は豪雨の度に運転が規制されていたが、法面の補強工事が地道に続けられた結果、平成13年度から降雨時の運転規制値が緩和されて輸送安定度を向上した。それでも土砂崩壊が懸念される箇所については、光ファイバー式の土砂崩壊センサーを設備されている。
(3)地震対策
平成10年に、JR東海の新幹線の「ユレダス」からデータの提供を受けて警報システムを構築している。平成19年10月からは、地震早期警戒システムが導入され、地震計がP波を検知した時点でレベル4の防護無線(下記参照)を発信し、S波到達前に列車を減速させるようになった。
(4)警報システム
防災用のセンサー群は、防護無線を発信して列車に対し警報を出すようになっており、センサーの測定値は施設指令に集約され、指令員が測定値から運転規制のレベルを判断して運転指令に伝達する。
南西急行では運転規制のレベルを以下のように設定している。
レベル1 | 時速45km/h以下に速度を制限する |
レベル2 | 時速25km/h以下に速度を制限し、駅間停車を防止するため通知運転を行う |
レベル3 | 時速15km/h以下に速度を制限し、列車を最寄りの駅に到着させてから運転を抑止する |
レベル4 | 列車を即座に停車させ運転を抑止する |