空港アクセス対応改造
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2020年夏に巨大な国際スポーツイベントが開催されることが決定された平成25(2013)年以降、南西急行では来るべき空港アクセス客の大幅増加に備えて空港アクセス用特急の増強を図ってきた(ダイヤの変遷Ⅴを参照)。その考え方には「空港アクセス輸送=特急で対応」という建前があったのだが、2020年を待たずして急増した訪日外国人客が急行・快速に大挙して混乗するようになり、一般乗客の不満のボルテージが急上昇する事態となった。
そこで、平成28(2016)年度から急行用車両および一般用車両(8両編成)の4・5号車を空港アクセス向けに改造する工事が開始された。また、ホームドア整備計画に支障する3000系については、当初から4・5号車を空港アクセス仕様とした3200系に置き換える方針を決定したのである。
1.プロジェクトの工程

本プロジェクトは、改造工事中の代替車として、3200系4・5号車と同仕様で3204・3205の2両の付随車を建造するところから始まった。これが平成28(2016)年度で、特急用車両置換プロジェクトの最終年度である。
その後、5200系・5400系の改造工事を月に2組(4両)のペースで関浜車両所で施工。それと並行して、3200系の建造と3000系の廃車を実施した。6200系は施工内容が少ないため車両の差し替えはせず編成ごと入場して改造している。反対に2200系は施工内容が多いため再び4・5号車を3204・3205と差し替え、1ヶ月に1編成のペースで進捗させた。全編成の改造が終わったのは2019年12月である。
2.3200系量産先行車の建造

この車両は、3200系の量産に先立ち、空港アクセス対応改造を施工する間の代替車とするために建造された。車号3204・3205は、十の位が0でありどの編成にも属していないことを示している(車両研究室参照)。この2両は5200系・5400系の両方に連結できるように制御システムが特殊仕様となっている(5400系の派生型である2600系・2200系・6200系とも連結可能)。
3.5200系の改造

改造工事は、まず車齢の高い5200系から始まった。主な施工内容は以下のとおり。
- 車端部にスーツケース収納ラックを点対称に配置(当該箇所の窓は閉鎖)
- スーツケース収納ラックの対面のシートをロングシートからボックスシートに変更
- ドア間のシートを全席転換クロスシートに交換(シートピッチ=850mm)
- 車体中央ドア近傍に補助シートを8席分新設(中央ドアはそれを示すため黄色に塗られている)
この工事の特徴は、電気系統に極力手を入れないことで工期を短くすることにあり、編成からの抜き取り→改造→編成への戻し を含めて1編成あたり2週間で完了できた。
4.5400系の改造

5200系の次に5400系の改造が進められた。施工内容は上記と同様。
5.6200系の改造

令和元(2019)年度の6200系の改造は、車端部へのスーツケース収納ラック新設のみであるため、前述した3204・3205号車との差し替えはせず、編成ごと関浜車両所に入場して施工した。
6.2200系の改造

2200系の改造は、6200系の4・5号車改造車と全く同一仕様とすることを目指した。2200系の特徴である固定セミクロスシートを撤去し(2600系のリニューアルに転用する)、6200系と同仕様の回転クロスシートに変更している。2200系はメカニズム的には6200系と同一であるため、改造後の仕様も合致させた方が合理的であろう、との判断によるが、施工量が多いため工期は長いものとなった。
また、2291F以降は、T車の主要部品が1600系T車の廃車発生品であり、大規模な改造を行うには経年的に不合理であるため施工を見送っている。