南西急行電鉄研究会

矢積駅改良

矢積駅の高架化は、性格的には水澄線複線化の付随的工事とも言える。しかし、国鉄側の駅の高架化も同時進行する若干複雑なプロジェクトでもあり、駅の構造の変遷を本項で解説する。なお、線路配線については別項を参照されたい。

0.地平駅時代

矢積駅改良/矢積駅地平駅時代.gif
地平駅時代の矢積駅

 昭和51年4月、水澄鉄道は南西急行水澄線となり、当駅も南西急行の一駅になった。それ以前の経緯については「水澄鉄道」の項を参照されたい。

 昭和55年10月、湾岸新線の全通によって国鉄からの直通急行水澄の運転が終了。南街道本線から水澄線1・2番線に発着する連絡線も撤去された。

 高架化は、昭和63年7月に、駅に併設されていた矢積検車区の機能移転から始まった。JR側(昭和62(1987)年4月に国鉄が解体されJRが発足した)も、当駅の貨物ヤードの機能を当駅から二つ東京方の森津駅に集約することで使用停止した。八浦駅高架化と異なり、当駅では広大な用地を生み出してから一気に高架駅を建設して切り換える工法が採用されている。

1.仮駅切換

矢積駅改良/矢積駅仮駅切換.gif
仮駅切換

 JR側は貨物ヤードの跡地に高架駅を建設すればよいが、南西急行側は地平駅の跡地に高架駅を建設することになるため平成元年6月に仮駅に切り換えられた。その際、旧矢積検車区の跡地を利用して、地元の念願であった北口仮駅舎が設けられ(従来の駅舎は南口駅舎と呼ばれるようになる)、北口・南口が南西急行とJRの共用の跨線橋で結ばれた。

 仮駅は2面4線ではなく1面2線となった。このころには隣の御幸台駅は2面4線化されており、当駅での退避や折り返し等の運転取扱を代替することができたからである(切換と同時にダイヤ修正が実施された)。また、仮駅への線路切換は上下線を一発で実施しており、工事費の低減と工程の短縮に大きな効果があった。

2.高架用地更地化

矢積駅改良/矢積駅高架用地更地化.gif
高架用地更地化

 高架駅の建設用地を更地化した直後の状態。南北連絡跨線橋の中間部分が撤去されて通路が地平に降りている。

3.高架駅建設途上

矢積駅改良/矢積駅高架駅建設.gif
高架駅建設途上

 高架駅切換直前の平成3年10月ごろの構造。南北連絡通路のルートがちょうど高架駅のコンコースにあたるように設計されているため、利用客が複雑な仮通路を歩かされる場面はほとんど無かった。「用地に余裕があると何事も楽にできるんだなあ」とは、八浦駅高架化工事を担当した南西急行の建築担当社員の言である。

4.高架化切換

矢積駅改良/矢積駅高架化切換.gif
高架化切換

 平成3年12月、南西急行は仮駅から高架駅への上下線同時の線路切換を敢行。JR駅は構内配線が複雑(駅の両側に引上線がある)なため若干工期が長く、平成4年8月のお盆(貨物列車を運休させ長大間合いが確保できる数少ないチャンスである)に同じく上下線同時に切り換えられた。

 当駅の高架化は工期の短縮が第一義とされ、上下線同時切換というリスクの大きな工法がむしろ積極的に行われた。特にJR側は、東京から100km離れた駅であり輸送への影響という観点ではリスクを受容しうる状況であった(もちろん、当駅が折返し機能を担っていて上下別々の線路切り換えをやるとダイヤの引き直しが大変であるという事情もあったのだが)

 図版はJR駅の切換直後の姿であり、この時点で初めて南西急行とJRの改札が分離され、当駅の長年の懸案がようやく解消された(南西急行駅が高架化された時点ではまだ改札内コンコースは共用とせざるを得なかった)。ちなみに、このときに南西急行もJRも自動改札機を導入している。

5.高架化完成

矢積駅改良/矢積駅高架化完成時点.gif
高架化完成時点

 南西急行の仮駅とJRの旧駅が撤去されて駅前広場に再整備された後の矢積駅。高架化工事の本来の目的である南北自由通路が本格的に通行可能となり、交通事情が凄まじく悪かった北口側の利便性が見違えるように好転した。現在では南口側よりも発展が著しい。

6.現在の矢積駅

矢積駅改良/現在の矢積駅立体図.gif
現在の矢積駅

 バリアフリー化とエキナカ開発を終えた、現時点での矢積駅

 高架化された直後は、高架下は駅周辺の店舗との競争を避けるため現業事務所として使用され、店舗はKIOSK程度しか設けられていなかった。しかし、当駅は南西急行とJR線との乗換駅として商業需要が大きく、地元との協議の末、平成26年12月に駅構内の大規模リニューアルに際してエキナカ開発が行われた。

 このプロジェクトは美咲駅の事例に倣って南西急行・JRの共同で実施された。共用スペースとして構内にイベント広場を確保し、さらに、現業事務所の縮小にあたって両社の駅社員の生活スペース(宿直室、食事室、バス・トイレ等)を共用化して用地効率を高める工夫がなされている。



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