盛り込みスジ
南西急行は、沿線に利用者数の波動が大きい大規模集客施設(Megurodai-Studion、武蔵神宮、KDR、新長坂ららぽーと、成原ポートサイト、美咲空港…etc)や国際的観光地(青海半島・水澄)を有しているため、列車増発や大口団体の輸送に臨機応変に対応できるよう、盛り込みスジと呼ばれる臨時列車運転用のスジを準備している。本項では、それがどのように構成されているか、令和2年3月ダイヤ改正に基づいて解説する。 |
1.東京線

(1)日中

- ①臨A(急行)スジ
- 区急の増発用。海浜公園で特急を退避する。青海線・水澄線への直通に際しては、美咲~八浦(または新八浦)間および美咲~矢積(または御幸台)間の普通と直通する。朝ラッシュ後の下り区急と平日夕方・休日朝に運転される区急がこのスジを使っている。平日朝ラッシュ時の下り列車の一部が新宿始発であるほかは全列車が渋谷発着である。
- ②臨B(急行)スジ
- 主に団体列車用で、青海線・水澄線の臨Bスジ(後述)とも繋がっている。相当の多客が見込まれる場合はこのスジで区急を増発することもあり、東京線では都合1時間に最大12本の急行・区急を運転できることになる。また、休日の朝時間帯には神津における停車時間を調整して上り区快2本の増発にも使われる。
- ③臨A(特急)スジ
- ①のスジを特急の増発に使用するもの。海浜公園で定期特急を待避する。KDRおよび成原ポートサイトへの乗客に対する着席サービス提供を目的に設定されることがある。
- ④臨B(新幹線継送)スジ
- 渋谷・旗塚~神津間を最短時間で走行し新幹線に接続する目的で運転する、事実上修学旅行専用のスジ。乾~神津間は緩行線を走行する。手狭な東京駅で修学旅行生を受け入れなくないJR東海の求めに応じて設定される。
- ⑤臨A(谷町線→急行線)スジ
- ①③スジを谷町線直通としたもの。上図では特急スジとしているが急行スジにもできる。朝の下り増発特急ひよどり71・73号の運転に使用している。
- ⑥臨B(谷町線→新幹線)スジ
- ④スジを谷町線直通としたもの。修学旅行で、生徒を谷町線各駅で乗降させて新幹線に乗り継げるようにする等の目的で設定される。
- ⑦臨B(谷町線→急行線)スジ
- ②スジを谷町線直通としたもの。修学旅行やツアーの旅客を谷町線各駅で乗降させ、美咲空港や青海・水澄方面に送客する目的で設定される。
- ⑧臨C(谷町線・緩行線内)スジ
- NEWS-Line内での団体需要に対応するために設定される。2020(令和2)年3月ダイヤ改正以降、池尻と東仙寺の待避設備を使用しない前提でスジが引かれるようになり、谷町線の谷町・西麻布を通過するか、緩行線の池尻・新杉原・岩崎を通過するか、のどちらかを選択することになる。
- ⑨臨D(谷町線・緩行線→急行線)スジ
- 谷町線および緩行線内各駅から海浜公園・新成原・美咲空港および青海・水澄方面への団体列車に使用される。⑧スジと同じ事情で、池尻・新杉原・岩崎を通過するか、香堂・姫川・東仙寺を通過するかのどちらかを選択して設定することになる。紅林で9~10分の時間調整を行うため定期列車の着発線変更も必要であり、上下列車を同時に設定できないなど制約は大きい。
(2)平日夕方ラッシュ時
2020(令和2)年3月ダイヤ改正以降、池尻と東仙寺の待避設備を使用しない前提でのダイヤを設定することになったため、平日夕方ラッシュ時の緩行線に臨時列車を挿入することはほとんどできなくなった。谷町線・緩行線が関係するスジの中では前述した④・⑥・⑦のみが設定可能。

2.谷町線~目黒台線
目黒台線は、終点目黒台駅が総合競技場Megurodai-Studionの最寄駅であることから、イベントやスポーツゲームの観客輸送のための臨時列車のスジが用意されている。地下鉄各線からの観客を谷町線に吸い込んで目黒台へ観客を一挙に流し込む目的で設定される。東京メトロおよび新東武鉄道所属車を含む通勤用車両が充当される。なお、この列車に限り、グリーン料金は東京メトロと南西急行を跨って利用しても2社跨がりではなく1社跨がりの料金となる。
- ⑪臨Eスジ
- 大手町で準快を待避し、谷町・西麻布を通過するスジ。上下列車を同時に設定できず、旗塚にて急行線の臨Aスジを支障するためあまり設定されない。
- ⑫臨Fスジ
- 谷町線内全駅に停車するスジ。専らこちらが多用される。

平日の夕方は⑫のスジのみ設定可能である。ただし、北千住駅のホームが不足することから折返しは浅草駅で行うことになる。

3.青海線・水澄線
青海線・水澄線の盛り込みスジは、東京線の「臨B」のスジと繋がっており、上下方向共に名取・静町で急行を待避し、八浦・矢積で5分の時間調整が発生する。また、最近は特急で団体客を捌くことができているため、青海線・水澄線で営業列車に盛り込みスジが使われるケースは比較的少なく、検測車や回送列車に活用されることが多い。
なお、ダイヤに示したとおり、このスジは美咲~八浦および美咲~矢積間の全駅に停車することはできず、そのような需要に対しては個別にスジを調整して対応することになる。

