南西急行電鉄研究会

特急用車両置換

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 南西急行電鉄は平成25~28年度に、

 という一連のプロジェクトを実施した。これにより、従来、モノクラス8両編成であった特急用車両の4号車をグリーン車、5号車をコンパートメント車として、特急のサービス拡充を図っている。これには若干複雑な編成の組換を伴うため、以下にその内容を紹介する。

特急用車両置換/特急車両置換の工程.png
特急車両置換のスケジュール


1.平成24年度までの状況

 特急車は「なぎさ」「ひびき」共に定期で12編成が必要であり、それぞれ検査予備1編成を加えて13編成ずつ、計26編成が所属。内訳は7200系7400系共に13本である。南西急行で言うところのA・B検査用の予備は、検査予備編成を共通化することで確保するほか、臨時用車両7600系を特急車の代替運用に充当することで賄っていた。

 7200系は平成元年に登場し、平成24年度の段階で経年20年を超えており、他社では同時期に登場した特急車の置き換えや大規模リニューアルを行う事例が見られていた。平成18・19年度に7200系は内装のリニューアルを施工していたものの、延命工事は施工しておらず、置き換えの手を打っておくことは必須であった。そこで新型車7800系の登場が決定したが、この際に従来の「モノクラス8両固定編成」という特急車両の在り方を変革することとなり、後述するような複雑な経過を辿るようなプロジェクトになったのである。

 また、7400系は平成10年の出現であり、経年的にはまだまだ現役でありながら営業サイドからは(他社の特急用車両との比較によって)リニューアルの必要性が訴えられた。そこで、一部車両を製造メーカーに返送して施工するという大規模改造が決断された。こちらも、改造中の予備編成を確保するために一時的に一部編成をバラして他の編成に組み込むという荒業が計画当初から盛り込まれていた。

2.平成25年度

 平成25年度は一連のプロジェクトの第一段階として、7400系のメーカー送り対象車の抜き取りに伴う編成組み換えと、不足する編成数を補うための7800系7編成の先行投入を実施した。

(1)7200系

特急用車両置換/2013年7200系.png
図1 平成25年度 7200系の動き

 全13編成のうち1編成(7271F)が、後述する7400系リニューアル改造の間の予備編成に指定された。図の右側でグレー地となっている車両は、平成26年度末にグリーン車・コンパートメント車に差し替えられる。

(2)7400系

特急用車両置換/2013年7400系.png
図2 平成25年度 7400系の動き

 4編成をバラして確保した電動車16両を8編成の4・5号車に組み込み、弾き出した4・5号車を車両メーカーに送ってグリーン車化・コンパートメント車化の大規模改造を施工している段階である。電動車を追加で組み込んだ編成は6M2Tとなって加速性能が過剰になるため、駆動用主回路を切って運行した。4・5号車以外の車両は関浜車両所にてリニューアル(シートモケットの交換、客室扉上部へのPDP設置、バリアフリートイレ整備など)を施工している。また、1編成(7471F)が、7271Fと共に他の編成の改造中の予備編成に指定された。

(3)7800系

特急用車両置換/2013年7800系.png
図3 平成25年度 7800系の陣容

 7編成が関浜車両所に搬入され、平成25年7月から「なぎさ」「ひびき」のそれぞれ3運用に限定で充当された。その3運用は、「なぎさ」の場合、八浦検車区出庫→青海運転所入庫、青海運転所出庫→同入庫、青海運転所出庫→八浦検車区入庫というパターンであり、毎日必ず1本は八浦検車区に入庫することになる。「ひびき」の場合も同様に御幸台検車区へ入庫する編成が毎日必ず1本存在する。検査を行う場合は、この八浦検車区御幸台検車区に滞泊している編成を関浜車両所の予備編成と回送で入れ替えるという方法を採った。なお、7800系が当初関浜車両所に配置されたのは、新型車両の保守要員を同車両所で集中的に養成するためである。

3.平成26年度

 このプロジェクトは平成26年度末、平成27年2月に大きな山場を越した。すなわち、7200系および7400系の編成組み換えを一か月間で完了させるという難事を果たしたのである。これを受けて、平成27年3月ダイヤ改正では特急用編成のサービスレベルを統一している。

(1)7200系

特急用車両置換/2014年7200系.png
図4 平成26年度 7200系の動き

 8両×7編成=56両と、6編成分の4・5号車12両の計68両を保留車とし、残った6編成の4・5号車に7800系の仕様で建造したグリーン車・コンパートメント車を組み込んで新たな8両編成を組んでいる。この作業は平成27年2月の一か月間に行われ、その間は(7800系充当と指定された以外の)全ての特急が4・5号車の営業を休止した状態で運転した。これは、編成組換の工程がどのように変動するか判らず座席を予約の形で販売できないためで、4・5号車がグリーン車・コンパートメント車を組み込んでいてもいなくても乗客を乗せないで走行させたのである。

(2)7400系

特急用車両置換/2014年7400系.png
図5 平成26年度 7400系の動き

 平成27年1月に、車両メーカーに送っていた4・5号車(計24両)が改造を終えて戻り、それにタイミングを合わせてそれ以外の車両のリニューアル改造を完了させた。その後平成27年2月の一か月間をかけて編成を元に組み直す作業を行っている。また、1編成(7471F)については4・5号車の改造ができないため、7800系の仕様で新造したグリーン車・コンパートメント車を組み込んだ(未改造の4・5号車は廃車した)。この編成は、特急車の予備編成を1本増やすためのものである。

(3)7800系

特急用車両置換/2014年7800系.png
図6 平成26年度 7800系の動き

 1編成が増備され合計8編成となった。また、平成27年3月改正で4編成ずつが八浦検車区および御幸台検車区に配置変更された。

4.平成27年度

 平成27年度は、一連の施策の総仕上げの段階として、7200系6編成を7800系に置き換えた。また、7200系の廃車発生品を利用して団体・臨時用車両6400系が登場した。

 最終的には、特急車は7400系が13編成、7800系が14編成で計27本の陣容になり、1本増える。これは、臨時・団体列車用の編成を特急の代替運用に充当できなくなる(編成構成が異なるため)ことへの対策である。車両数を極力抑えるのが南西急行の経営方針であるが、特急のサービスレベルを改善するためにはやむを得ないところであろう。

(1)7200系廃車・6400系建造

特急用車両置換/2015年7200系.png
図7 平成27年度 7200系6400系化の動き

 平成27年度は、7800系の編成を順次投入し、7200系を徐々に使用廃止した。図中の赤地の車両は、次年度に7800系の編成に組み替えられるものである。昨年度末に廃車された車両は、主要部品を6400系の新造車体に再艤装して4両編成7本に生まれ変わった。そのうち1編成は欧風仕様で登場している。

(2)7800系

特急用車両置換/2015年7800系.png
図8 平成27年度 7800系の動き

 7800系の1・2・3・6・7・8号車6両6編成分を順次投入して7200系と置き換えた。上図の赤地の車両が、7200系の編成に一時的に組み込まれていたものである。

5.平成28年度

(1)7200系廃車・6400系建造

特急用車両置換/2016年7200系.png
図9 平成28年度 7200系6400系化の動き

 平成28年度は、平成27年度末に廃車した7200系6編成から回収した主要部品を活用して6400系4両6編成を建造した。うち2編成は、KDWへのゲスト輸送を主眼とした特殊仕様車「Bayside Express」として落成している。


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