南西急行電鉄研究会

水澄東口駅改良

1.プロジェクトの背景

水澄東口駅改良/yashikinotaki.gif
改良前の八色ノ滝駅

 国際的観光地たる水澄では、域内の自然環境を保護するために以前からマイカー規制を敷いていたが、実態としては自主規制のレベルであり、観光シーズンの週末ともなれば主要道路は大渋滞が頻発していた。特に問題なのは、この渋滞に路線バス・観光バスが巻き添えになることで、規制の精神に則って公共交通機関を利用している観光客からは、空気も読まずに我が物顔で車を持ち込むドキュソマイカー族に対する怨嗟の声が上がっていた。

 そこでX県では平成16年度の県議会で「地元車」以外の水澄域内からのマイカー締め出しを強制化する条例を可決し、それに基づく各種のプロジェクトに乗り出した。その目玉が、水澄地域の出入口にマイカーから公共交通機関に乗り換えさせるための大規模な駐車場施設を設けることである。

 この施設は安直なネーミングながら「パークターミナル」と呼ばれ、水澄北、水澄西、水澄東の3箇所が計画された。"水澄北"は織田急電鉄の湯元駅に、"水澄西"は城山バスターミナルに、"水澄東"は南西急行の八色ノ滝駅にそれぞれ併設されることになった。

 南西急行では、このX県の動きに合わせて八色ノ滝駅の改良工事プロジェクトを立ち上げた。同駅は図版のように極めて小規模なローカル駅であり、大規模な駐車施設を併設するには旅客取扱能力が不足することは明白であったからだ。また、この「パークターミナル」は車という移動手段を奪われる一般観光客に対する機能補償の側面があり、当駅と水澄駅の間をピストン輸送する列車を発着させるため着発線の増強も必要とされた。

 同時に、駅名を「水澄東口」に変更して、パークターミナルを併設していることをわかりやすくアピールすることが工事計画に盛り込まれた。

2.駅改良工事の計画と設計

水澄東口駅/mizusumi-higashiguchi.gif
改良後の水澄東口駅

 水澄東口駅は、観光シーズンの大需要に対応できるよう、マイカー→鉄道の乗換客が段差ナシでスムーズに列車にアクセス可能なように設計されている。また、上り普通列車で当駅に降り立った乗客を短時間で捌くため、上りホームから駅舎への階段・エスカレータの旅客取扱能力を大きく確保している。道路渋滞を解消するための施設が、人の渋滞によって不快を感じさせるようでは意味がないからである。

 当駅は、安全対策としてホームドアを設けている。これはホーム上の混雑への対応と、旅行客の大荷物に対応するためカートの使用を想定したことによる。

 なお、当駅の改良工事の費用は、駅舎とホームがX県の負担金、鉄道電気設備(連動装置の新設や電車線路設備等)が南西急行の自己資金で支出されている。

3.パークターミナル水澄東について

 この駐車施設は本来は南西急行が整備したものではないが、当駅と密接な関係があるためここで記す。

 パークターミナル水澄東は、マイカーをここで堰き止め、ここから先の水澄域内へは南西急行に乗り換えてもらうための施設である。駅前のロータリーは、当駅を境に俗に「都会側」と「田舎側」の2つのブロックに分けられている。「都会側」には大規模な立体駐車場を設け、マイカーをここに停めておく。この立体駐車場は入出場時のチェックと駐車料金の支払いをETCで行うため出入口で渋滞を起こすことが無い。

 「田舎側」は、水澄側からマイカー客を迎えに来た宿泊施設の送迎車や、観光バス、タクシー等が使用する。「都会側」と「田舎側」の間には手荷物の集荷・引渡所が設けられている。この「パークターミナル」では、マイカー客の荷物をここで集荷して宿泊先に届ける、あるいは宿泊先からここへ荷物を届けて引き渡すというサービスが提供されており、この施設の運営は水澄観光協会が行っている。

 マイカー利用客の基本的な動きとしては、

  1. 矢積方から施設内に乗り入れ
  2. 駅前のロータリーで同乗者と荷物を下ろす
  3. 同乗者が集荷所で荷物を宿泊先に届けてもらう手続きを行う
  4. その間にドライバーが駐車場に車を入庫
  5. ドライバーと同乗者が合流し列車や送迎車に乗り換えて水澄へ
  6. (水澄観光)
  7. 水澄から列車・送迎車でパークターミナルに到着
  8. ドライバーは車を駐車場から出庫
  9. その間に同乗者が引渡所で荷物を受け取る
  10. 駅前ロータリーで車に同乗者と荷物を乗せる
  11. 施設内から矢積方へ出る

 という流れになる。

 駐車場には土産物屋、休憩所、フードコート、キッズスペース等を備えた管理棟が併設されている。高速道路のサービスエリアと同様の施設と思えばよい。この駐車場は、将来の利用客の増に応じて増設できるよう予めスペースが確保されている。

 なお、この「パークターミナル」は、都会側からやってきた車のうち、観光バス・路線バス・タクシーおよび地元車のみが田舎側へ通れるよう、両側のロータリーの間にゲートを設けている。地元車は、県に申請して交付を受けた登録証を運転席に掲示することになっている。

水澄東口駅改良/parkterminal.gif
パーク・ターミナル水澄東のレイアウト

4.シャトル列車の運転について

水澄東口駅改良/mizusumi-shuttle.gif
シャトル列車の運転経路

 水澄東口駅の改良と連動して、南西急行では平成24年7月ダイヤ改正から当駅~水澄間に毎時2往復のシャトル列車の運転を開始した。このシャトル列車は、水澄東口水澄で同じ扉を開くようにして、開かない方の扉の周囲を荷物スペース化する。この理由から途中の珠ヶ谷駅は通過するので列車種別は快速を名乗っている。

 シャトル列車は、1日の運用を1編成で完結する。車両は一般用車両4両編成か8両編成を使用するが、運用計画担当者の気まぐれ検査計画の都合で特急用車両を使用することがある。

5.妄想の解説

 大観光地の手前にパーキング施設を設けてマイカーの流入を規制するという政策は、スイスのツェルマットの例からパクったものです。ツェルマットはマッターホルンの麓にある観光地で、環境保護のために内燃機関を積んだ自動車は入れないことになっています(街中では電気自動車が使用される)。そこで、氷河急行で有名なマッターホルン・ゴッタルド鉄道のツェルマット駅の一つ手前にあるテッシュという駅に大きな駐車場設備が併設されており、マイカーや観光バスをここに駐車して、テッシュ~ツェルマット間に20分ヘッドで運転されるシャトル列車に乗り換えてツェルマットに入る、という方法が採られています。

 水澄東口駅の場合はマイカー規制のための施設であり、ツェルマットの例とは趣旨が若干異なりますが、模倣すべき事例として南西急行電鉄に取り入れました。



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