新宿駅改良
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1.改良前の新宿駅


京神電鉄は、いずれ周辺を再開発する構想を持っていたようである。しかし実際には、その後のヨンサントオ協定に基づく各種建設工事(紅林複々線化・湾岸新線など)が優先され、それどころではなくなってしまう。これらのプロジェクトがひと段落した後も、東京側ターミナルの改良は構造的に大きな問題を抱えていた渋谷駅が優先され(別項を参照)、新宿駅は置き去りにされていたと言って良いであろう。
下段の図版は、国鉄(JR化は昭和62(1987)年4月)埼京線の運転区間が池袋から新宿に延伸されたに伴い、新宿駅に1・2番線ホームが増設された時点のものである。南西急行の駅は開設以来30年以上を経過して老朽化が指摘されていた。このころは新宿貨物駅は廃止済であり、跡地は国鉄清算事業団に承継されることになっていた。
2.新南口開設と周辺再開発

このころ、国鉄清算事業団は貨物駅跡地の再開発に関してJR東・南西急行と基本協定を締結していた。この協定では、南西急行の新宿駅をJRの線路側に移設し、貨物駅跡地と一体的に整備して複合型商業施設(現在のTimes-Square等)を設けること、また、JR側がこの施設に直結する新駅舎を設けることが定められていた。よって、JR新南口駅舎はその前提で設計されている(この時点では、3・4番線ホームへのアクセスを改善するため、先行的に新設された部分のみが使用開始された)。
再開発プロジェクトは平成5年10月に着工された。南西急行はこの時点で新宿駅の営業を一旦休止している。これは、渋谷駅改良工事の際に、駅を営業しながら工事を施工することの困難にイヤ気がさした懲りたためと言われている。そのような措置が可能であった背景として、当時の南西急行にとって、営業休止による利益逸失よりも工事費低減と工期短縮のメリットの方が大きかったことが挙げられよう。また、戦後間も無い時期の施工であり老朽化が問題化していた「明治通りトンネル」の改修工事が必要とされていた点も見逃せない。
旧駅の解体工事は新宿駅の営業休止の翌日から始まった。図版の白の点線は新ホームの位置を示しており、この時点ではすでに新ホーム下にあたる駅ビルの基礎工事は始められていた。
3.新宿駅改良工事に伴う線路配線の変遷

- STEP1
- 新宿駅の営業休止直前の配線。旗塚駅は東京線輸送力増強工事により5・6番線ホームが新設されたほか、新宿駅営業休止の期間中の折り返し機能を補完するため、4・5番線から美咲方への折り返し線が設けられた(詳細は別項を参照)。この線路は下り急行線との合流点の手前に1編成収容可能なダンパー線としての機能も有し、4・5番線を折り返し列車が長時間塞ぐことが無いようになっている。また、渋谷駅も改良工事に伴い、折り返し線を2線に増設して新宿駅の営業停止に備えている。
- STEP2
- 営業休止直後。明治通りトンネルを含めて一時的に線路が使用停止され、新宿旧駅の解体工事が始まっている。また、新宿新駅はTimes-Squareのビルの基礎工事後、ホームが形になろうとしている段階であった。
- STEP3
- 新駅開業時点。発着頻度が高い1・2番線の交差支障時分を短縮する配線に改められている。3・4番線は旧駅同様に特急用ホームとされた。
なお、新宿駅営業休止中のダイヤについてはこちらを参照されたい。
4.明治通りトンネルの改修工事

新宿駅の改築に併せて、明治通りトンネルの大改修工事が施工された。同トンネルは都市部の地下トンネルとしては施工時期が古く、漏水や壁面の剥離等が見られるようになっていた。また、旗塚駅改良工事により同駅の保守用車基地が廃止されてトンネルの保守作業が辛くなるため、同トンネルを極力メンテナンスレスな設備に改修する必要があったのである。

5.新駅開業と新たなプロジェクト

また、このころ、甲州街道の老朽化対策と耐震補強(折しも平成7年1月には阪神淡路大震災があった)としての陸橋の架け替え(国道20号新宿跨線橋架替)と、JRの線路上空のスペースに人工地盤を設けて交通結節点としての機能を増強する「新宿駅南口地区基盤整備」という二つのプロジェクトが立ち上がっている。これは、新宿に集まる鉄道各社と、国(甲州街道の道路管理者)・都が関係する大変複雑なものであり、難協議の末、平成11年度に着工された。
6.甲州街道架替と基盤整備の進捗

7.新宿駅南口地区基盤整備事業の完成
図版は2016(平成28)年4月時点の構造を示している(ホームドアは2019年度に整備したもの)。JR駅の上空には広大な人工地盤が設けられ、2FがJR新宿駅駅舎、3Fがタクシー乗降場・高速バス降車場、4Fが高速バスターミナルとなっている。この事業の完成により、同駅近傍の19箇所に散らばっていたバス発着所が統合され、タクシーの乗降による甲州街道の渋滞も大幅に緩和されるなど、新宿駅周辺の交通事業が劇的に改善された。
JR東が建設した高層ビル(ミライナタワー)の1F・2Fは元どおりに南西急行駅への直結コンコースとなっている。つまりJR東が南西急行のターミナル駅を整備した形になるが、これは新宿貨物駅跡地再開発の協定の中で南西急行とJR東で用地を交換した(南西急行から見れば、新宿駅本体や繁華街に近い駅ビル部分をJR東に譲渡し、ホームを美咲方に後退させている)という20年以上前の経緯に基づいている。
また、この事業に合わせて、南西急行側も駅の改良工事を完成させた。Times-Squareの1Fの一部をラチ内化し、そこへ待合室と小規模なエキナカを整備している。これは、新宿駅全体の機能が増強されることで南西急行の駅設備が相対的にショボく見えてしまうのを防ぐためで、特急列車始発駅として今一つ機能不足であった同駅がようやく面目を一新した。
8.妄想の解説
現実世界の新宿駅に、南西急行の新宿駅という介在物の要素を付け加えて、構造の変遷を設定しました。2016.04.09の更新で、これまで完成予想図であった第7節の図版を作り替えました。
バスタ新宿の構造は、現実のものとは少し異なっています。このページの内容はあくまで妄想です。現実世界と混同しないよう切にお願いします。