南西急行電鉄研究会

団体列車のダイヤ

 南西急行では、盛り込みスジを活用して、多種多様な需要に対応した団体列車を運転している。本項ではその設定例を、平成30年7月ダイヤ改正の平日ダイヤを中心に概説する。

1.下り方向

団体列車のダイヤ/下り団体列車時刻表1.png
表1-1 下り方向 団体列車の設定例その1
団体列車のダイヤ/下り団体列車時刻表2.png
表1-2 下り方向 団体列車の設定例その2

 平日朝ラッシュ時の下り方向の団体列車のダイヤを表1-1・2に示す。黄色は緩行線経由・水色は急行線経由である。「排他関係」の行に同じ記号が入っている列車はそのうち1本しか設定できない。上段は主に旗塚駅場面、下段は主に乾駅場面で生じる排他関係を示している。

 この時間帯は盛り込みスジが無く、それでいて団体列車の需要が最も大きい。そこで、典型的な需要パターンに即して予め設定されている団体列車のダイヤを示している。なお、朝ラッシュ時以降の時間帯は、盛り込みスジを使用して団体列車が柔軟に設定できるので本項では取り上げない。

(1)新幹線連絡

 南西急行の神津駅は、緩行線駅と急行線駅が完全に分かれているため相互の乗換が大変不便だが、緩行線駅そのものは新幹線との乗換に大変便利な位置にある。またJR東海は、東京口の混雑を分散させるため、南西急行と連携して首都圏各地からの団体客を神津に集約する方針を取っている。そのため、新幹線の団臨のダイヤに合わせた団体列車が運転されている。神津駅の高架ホームは改良工事に合わせて2面3線化されており、主に0番線が団体列車用に使用される(JRへの乗換客と団体客の動線を極力交差させないため)。なお、設定目的は圧倒的に中・高校生の修学旅行が多く、生徒が列を成して新幹線駅に向かう場面がしばしば見られる。

新宿・渋谷→神津(高架ホーム)

 表1の8001レ~8023レが該当。8013レ以降は、朝ラッシュ時に運転される6本の快急の折り返しで運転される(団体列車運用に充当する場合は車種は6200系になる)。その場合、渋谷到着後に目黒台運転所へ回送するダイヤを神津行に変更して設定する。渋谷旗塚での乗車場面では停車時間が短く、素早く乗ってもらうためのスタッフの苦労は尋常ではない。両駅のホーム不足が常に指摘される所以である。

 これらの列車は所要時間を極力短くしなければ意味がないので、ダイヤが許せば神津間の緩行線でも高速運転を行う(同区間には京神電鉄時代に速達列車があった)。しかし、8013レ以降は緩行線が朝ラッシュの返しダイヤの時間帯に入るために各停に頭を押さえられ同区間で10分を要している。

新東武線・谷町線→神津(高架ホーム)

 表1の8051レ~8065レが該当する。新東武線の北春日部駅を起点としている。新東武線内は準急谷町線内は各停のダイヤで運転し、旗塚間は急行線を経由して所要時間を短縮している。需要元として新東武線・東京メトロ沿線の各学校の修学旅行が多い。特に、都内の有名校の修学旅行では、広範囲に居住している生徒を谷町線の各駅で集めていくという使い方がなされる。

 なお、ごく稀ではあるが、緩行線沿線の学校から新幹線の修学旅行列車へ継送する団体列車も運転されることがある。距離が短く、目的が一般客との混乗回避であるため、藤田電留線神津間の回送列車のダイヤを変更し通勤用車両を使用して設定される。その場合は勿論グリーン車は乗車禁止となる。

(2)KDR・美咲空港

 Kozu Dizney Resort向けの団体列車は、小・中学生の小旅行を対象として、一般客との混乗防止のために設定される例が多い(ラッシュとは逆方向であっても、大騒ぎしている小中学生の集団が乗り込んできたら通勤客は一瞬で鬱な気分になるであろう)

 美咲空港向けの列車は、高校の修学旅行や、首都圏各地を発地とするパックツアー客を集約する形で旅行会社が借り切って運転する場合がほとんどである。こちらも、大きなスーツケースを抱えた空港利用客と通勤客の混乗を避けるのが主目的であり、普段から混雑度の高い南西急行では、団体客・一般客の双方から不評を買わないために運転しているようなものである。

緩行線→KDR・美咲空港

 表1の8281・8283レは緩行線沿線の乗客を空港へ送客するスジである。朝方に美咲空港を出発する海外便に搭乗する乗客をターゲットとしている。

 8381・8483・8385・8487・8389・8491・8393・8495・8397レは後述する青海・水澄線方面直通列車用の列車番号である。海浜公園行となる場合は列車番号は8180番台となり、同駅で乗客を降ろした後は新長坂の中線に収容するダイヤが組まれる。美咲空港行となる場合は列車番号が8280番台に変わり、同駅到着後は関浜車両所または館川町の電留線へ収容するダイヤが組まれる。団体列車は降車に時間がかかるので、特に目的地では2分以上停車時間を確保することを基本としている。1本の列車で複数の団体を複数の目的地に送客する場合、停車時間確保に伴う遅延は回復運転で取り返す。

旗塚駅改良/hatazuka-step8.gif
旗塚駅の線路配線図

 緩行線各駅を発地とする列車でありながら渋谷始発の列車ばかりなのは、旗塚駅が団体・臨時列車用地平ホーム(7・8番線)から緩行線に出発できない配線になっているためである。これはスペース上致し方が無いのだが、設備的な余裕の少ない渋谷駅を使ってしまうのは運転サイドとしては痛いところである。場合によっては恵比寿駅の折返し設備を活用して運転することもあるが、車種が谷町線直通が可能なものに限定されることになる。

新東武線・谷町線→KDR・美咲空港

 表中の8351・8453・8355・8457・8359・8461・8363・8465のスジが該当。海浜公園行となる場合は列車番号は8151番台、美咲空港行となる場合は8251番台となる。団体列車としての需要はこれらの列車が最も大きかったのだが、平成27年7月ダイヤ改正特急ひよどりが定期列車化されて以降、設定される機会は減少している。

(3)青海・水澄方面

 通常、青海・水澄方面は、特急に団体客を混乗させるのが基本であり、団体列車はあまり設定されない。しかし、特急が集客範囲としない新東武線・谷町線および緩行線からの直通運転が望まれる場合には運転される。

新東武線・谷町線→青海線・水澄線方面

 8351・8453・8355・8457・8359・8461・8363・8465レが該当する。北春日部から青海・水澄までの所要時間は3時間を少し超えており、さすがに特急クラスの車両でなければ居住性的に辛い。7600系お座敷仕様車6400系欧風仕様車が充当されることも多く、これらの車両の不足が指摘されている。

緩行線→青海線・水澄線方面

 8381・8483・8385・8487・8389・8491・8393・8495・8397レが該当。旗塚間沿線の小・中学生の遠足や修学旅行で利用される。高校生ともなれば各自で特急停車駅に集合させることができるので、学校の最寄り駅から出発、という需要は少ない。

2.上り方向

(1)青海・水澄線→谷町線

団体列車のダイヤ/青海・水澄線→谷町線.gif
表2 青海・水澄線→谷町線
団体列車の設定例
 南西急行の輸送上の一大特徴として、東京口や湾岸地区のように都市化された区間にも観光・行楽輸送の大きな需要があることが挙げられる。これに対応した青海線水澄線の沿線を発地とする団体列車の設定例が表2の8352レ・8452レである。これより早い時間帯の列車は朝ラッシュ時間帯にかぶってしまうので設定できない。これ以降の列車は臨Bスジで容易に設定できる。ダイヤの都合上、美咲駅で12分もの停車時間を必要とするのが欠点である(6番線を使用する)。

 主たる需要としては皇居、浅草等の都内観光地向け団体が挙げられる。

 KDRや成原ポートシティが目的地の場合は地下鉄直通に対応していない車種も充当される。この列車の需要が大きい平日の午前中は車両がほとんど出払っている状態であり、予備車を引っ張り出したり、八浦鉄道6000系を調達して対応する例が多い。

(2)美咲空港→武蔵神宮→谷町線

団体列車のダイヤ/美咲空港→武蔵神宮→谷町線.gif
表3 美咲空港→武蔵神宮→谷町線
団体列車の設定例
 武蔵神宮は、域内の日本庭園が大変有名で、昨今の外国人の日本観光ブームによって人気急上昇中のスポットである。表3の8702レは、美咲空港に到着した観光客を武蔵神宮へ送客する列車。8752レは、武蔵神宮からさらに都内の観光地へ向かう列車である。武蔵神宮で乗客が観光している間、当該の編成は武蔵神宮で待機するか一旦紅林検車区へ収容する(荷物を車内に置きっぱなしにするため、編成を変更することは原則として無い)

 武蔵神宮の参拝時間および緩行線の夕方ラッシュダイヤ移行の関係で、このスジは美咲空港14:13発が最終になる。なお、これらの列車は紅林の急行上り線・緩行下り線間のわたり線を利用して運転され(この列車の動きについては別項を参照、平面交差が発生する逆方向の設定は避けられている(できなくはないが、需要も極めて少ない)

(3)神津・目黒台→新東武線

団体列車のダイヤ/新東武線行団体列車時刻表.gif
表4 神津・目黒台→新東武線 団体列車の設定例

 平成27年7月ダイヤ改正より、南西急行の沿線から新東武線に送客する団体列車のスジが盛り込まれた。表4は平成29年4月改正におけるスジである。緩行線の各駅で集客する場合は8882・8884・8886・8888・8890レ、速達性を重視する場合は8852・8854・8856・8858・8860レのスジがそれぞれ適用される。谷町線からの集客を目的とする場合は8802・8804・8806・8808・8810レとなるが、南西急行には営業上のメリットがほとんどなく、新東武鉄道・東京メトロの団体列車のために目黒台運転所の設備・要員を便宜供与しているようなものと言える(これは北千住発で南西急行方面の団体列車を運転する場合でも同じなので「お互い様」ということになる)

 旗塚以北・新東武線側では5本の団体列車用のスジが用意され、神津~日光間を2時間半程度で走行できる。平成29年4月改正では鬼怒川温泉へも直通可能となったが、下今市駅での停車時間がわずかしかないので、同駅で列車を分割して東武日光・鬼怒川温泉の両方に行くことはできない。使用車両は7600系6400系と、平成29年4月に登場した新東武600系

 東京急行電気鉄道との結節点である香堂で同社沿線からのツアー客を集める列車が人気を博しており、最近では毎日いずれかの列車は運転されている状況のため、定期列車化やそれ用の新型車の出現も噂されている。

3.青海・水澄間連絡

団体列車のダイヤ/青海線⇔水澄線団体列車時刻表.gif
表3 青海線⇔水澄線団体列車の設定例

 国際的観光地たる青海半島と水澄をハシゴする周遊ルートは国内旅行客にも外国人旅行客にも大変人気があり、通常は美咲特急「なぎさ」「ひびき」を乗り換える行程が使われるが、大荷物を抱えた外国人旅行客には乗り換えはかなりキツいことから、美咲でスイッチバックするダイヤで団体列車が設定されるケースが増えている。使用車両は7600系お座敷仕様車が中心であり「和風列車体験」としてツアーに組み込まれる。お座敷列車は移動しながら食事を提供できるため、行程の厳しいツアーでは時間短縮に重宝される。美咲駅でのスイッチバック時に座席の回転が不要という利点も大きい。

 表3では青海・水澄を朝に出てお昼に水澄・青海に着くパターンを示しているが、この列車以降、盛り込みスジを利用して夜間まで30分間隔で設定できる。美咲での折り返しは6番線で行う。水澄線→青海線の列車では青海連絡線を逆走して桂木町方へ出発するという珍しいシーンが見られる。詳細は別項を参照

 なお、乗客の一部を美咲空港で乗降させる場合は、同駅まで延長運転して折り返すこともある。その場合は、美咲に本来停車している15分間で美咲空港まで往復はできず、時間調整のため美咲空港で30分間停車する。同駅のホームが輻輳してそれもできないときは、美咲空港の引上線や美咲のダンパー線で待機させるなど、トリッキーな運転取扱がなされることもある。

美咲総合駅/misaki-H27.gif
美咲駅の線路配線図

ダイヤ研究室


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