南西急行電鉄研究会

企業研究室

 南西急行電鉄は、大手私鉄としては極めて特殊な出自に起因して、鉄道会社としての業態も特徴あるものとなっている。本項では、南西急行電鉄株式会社とそのグループ企業に関して解説する。

1.会社組織

 南西急行電鉄株式会社は、組織構成的には非常に古めかしいピラミッド型を採用しており、フラット化・スピード化等のスローガンも掲げていない。ただし、「無駄に偉い人を増やさない」という方針は貫かれている。会長職が置かれているが名誉職的なものであり、代表権を持つのは社長と副社長2名の計3名。局長は常務取締役で、部長以上が取締役である。また、社外取締役が2名いる。

 各部には1~2名の次長が置かれ、部長の専門としない分野に関する補佐をする。課長・室長には大きな権限が与えられており、部長職には組織のリーダーというよりは取締役会のメンバーとしての役割が期待されている。室長は課長より1ランク上で、次長と同クラスである。各課・室には担務ごとに係長以下2~7名の社員で係が編成されている。大きな課には課長を輔佐する課長代理が置かれる。

 2015年度に組織形態を変更した。旧鉄道事業局を技術局と営業局に分割して、大きくなりすぎた技術部門の管理体制を強化している。4つの局の序列は企画局>営業局>技術局>開発事業局となっているが、南西急行はヨンサントオ協定締結以降、多数の工事プロジェクトを経て現在の形になっているため、技術部門の影響力が強い。

 また、他の鉄道会社に無い特徴として、情報システム部門に力を入れていることが挙げられる。これは、南西急行が発足当初から人員不足の状態での業務運営が宿命付けられ、業務のコンピュータ化が必須条件であったことに起因している。

企業研究室/soshiki2015.gif
南西急行電鉄株式会社の組織図

2.管理体制

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南西急行電鉄株式会社の現業機関配置図

 南西急行では支社・支店などは設けておらず、自社の営業エリアを7つの「地区」に分けて管理している。発足前には前身たる京神電鉄青海鉄道水澄鉄道3社をそのまま支社として分割統治する案もあったようだが、社としての一体感を増すために中央集権主義が採用され、それが現在まで続いている。地区の序列は、渋谷・美咲・神津・八浦・矢積・青海・水澄の順になる。

 各地区には、事務関係を取りまとめる「地区センター」があり、その元で営業区・運輸区・設備区・電気区等の現業機関が業務を遂行する。また、各地区には車両基地が1箇所所属しており、南西急行の事業運営上の拠点となっている。

 南西急行の現業機関の概要については別項を参照されたい

3.職制

本社における職名現業機関における職名
1次長・室長総合指令長・営業区長
2課長・課長代理区長・所長・センター長
3係長区長・副区長・所長・副所長・指令長
4・5主席助役・指令当直長
6・7主任技術主任・営業主任・輸送主任・主任運転士・主任車掌・指令員
8課員技術指導員・営業指導員・輸送指導員・指導車掌・運転士
9技術指導員・営業指導員・輸送指導員・車掌
10技術係員・営業係員・輸送係員

 「社員」に関する職制は上表のようになっている。次長・室長の上は部長(取締役)、局長(常務取締役)等の「役員」で、1・2等級の社員は非組合員の管理職である(3等級で人事に関わる職務を担当する社員も非組合員となる)。

 南西急行には現業機関にも序列があり、3等級の社員が区長・所長を務めるのは序列の下の方の現業機関である。また、そのような現業機関には副長職は置かれない。

 いわゆるパートタイム(南西急行では「時限勤務制」と言う)の社員もこの職制に組み込まれているが、最高は8等級であり、それ以上の等級になると通常の勤務制度のもとで就業することが求められる。

 昇級は試験制度に拠っており、試験の受験資格に各等級段階における勤務年数を設けることで事実上の年功序列制を保っている。鉄道事業は、どうしても社員の長期間の在籍を前提としなければ会社が立ち行かないからである。

 なお、この職制では、等級が上がるにつれて管理者(5等級以上をこのように呼ぶ)たるの業務に就かざるを得ないのだが、そのようなライフスタイルを好まない社員もいる(特に乗務員系に多い)。そこで、「専門昇級試験」という制度が設けられ、管理者としてキャリアアップする以外に、専門家として3等級まで昇級できるようになっている。実際に各現業機関を動かしているのは、こういったプロとしての経験と実績を積んだ社員たちである。

4.人事

採用制度

 南西急行では、G採用とS採用の二つの採用コースがある。

 G採用は4年制大学の学部卒業(予定)者を想定したもので、大学院卒も対象だが、南西急行では学部卒を優先しているようである。「鉄道は所詮経験工学。院で学んだことが役に立つ場面はほとんど無い。ならば早い段階で現場に慣れてもらいたい」(人事担当者の非公式談話)という考え方によるものらしく、院卒の学部卒に対する優遇措置は無い。つまり、同年齢ならば修士の学生は学士の学生より勤続年数的に2年の損になる。一方、高等専門学校の学生も対象となっているが、こちらは同年齢ならば勤続年数は大学学部卒と同じにみなされる。

 S採用は高等学校卒業(予定)者を想定したものだが、4年制大学・短期大学や専門学校の卒業(予定)者も受けることができる。4年制大学を卒業してS採用枠で入社するとG採用枠より年齢に対する勤続年数が最低4年分損をするようになるのだが、大卒者のS採用受験者は増加しており、その影響で高卒社員の割合が低下する傾向にある。

 南西急行では、他の鉄道会社のように高卒社員を職業系高校からではなく、X県内の進学校から採ることを方針としている。これは「ヘタな大卒より、優秀な高卒社員に早い段階から鉄道人として専門教育を施したほうがよほど使える」(人事担当者の非公式談話)という考え方からきているようだ。意欲のある社員には、国内留学派遣や、大学夜間部への通学支援等の制度もある。

 G採用の社員は入社時点で9等級、S採用の社員は10等級から会社人生が始まる。G採用とS採用は、かつてはいわゆる「幹部候補生」と「一般社員」という、社員育成の前提の違いがあったが、現在では入社年次の計算方法が異なるのみで、必要な年齢・年次に達した社員の中から選抜された者が幹部候補生としての教育訓練を受ける。

女性社員の活用

 南西急行は女性社員の割合が3割を超える。南西急行は3つ(湾岸急行電鉄を含めれば4つ)の会社の集合体であり、統合以後の派閥争いが懸念されていたので、会社内の雰囲気を一新するために女性社員を積極的に採用・登用した、というのがその発端である。他の鉄道会社との接客面での競争力強化を図ったという面もある。

 前身3社は当初から電気運転で、「鉄道=男の職場」という固定観念が薄かったので、女性社員の浸透は特に抵抗無く進んだが、深夜労働が禁止されていることが運用上のネックであった。そこで、女性社員は朝・夕ラッシュ時や多客期にパートタイム的に勤務に就くという制度が整備され、駅務員・乗務員として経験を積んだ社員は、結婚・出産・育児で一時職場を離れても、その後再びパートタイムの駅務員・乗務員として復職できるように配慮された。

 このことは、社にしてみれば、多くの費用と時間をかけて育成してきた現場社員を長期にわたり弾力的かつ有効に活用できるメリットがある。例えば、他社の場合(特にJR系)では臨時列車1本運転するのに複雑な勤務操配が必要であり、かなり以前から計画しなければならないところだが、南西急行では極端な話「明日12:00からの臨時列車の勤務に誰か入ってくれないか」と声をかけて誰がそれに応じればそれで手配は済む。南西急行が盛り込みスジと称して臨時列車を気軽に運転しているのは、このような現場社員の運用システムがあるからできることなのである。

 ただ、このような独自の勤務システムは、特に乗務員を一種の特権職と考えがちな同業他社からは白眼視された。南西急行の労組が私鉄総連に加盟していない理由の一つにこのことが挙げられるだろう。

 現在では、労働関係法令の改正で、女性社員であっても深夜時間帯に就業させることができるようになったので、男性社員と女性社員の運用(に関する制度)は統一されている。

5.関連会社

 南西急行電鉄の直接の前身である湾岸急行電鉄は、会社の性格としては神戸高速鉄道に似ていて、設立当初から鉄道専業であることが宿命付けられていた。ある単一の目的をもって開設された第三セクター企業が経営多角化に走れば「民業圧迫!」の批判に晒されることになるからである。これは昭和51年に京神・青海・水澄の三社を合併したときも同様で、この三社の鉄道以外の部門は分離されて、新会社(南西急行)には組み込まれなかった。

 このため、南西急行では、レジャー・流通・ホテル・不動産・バス・タクシーといった関連事業はごく限られた規模でしか展開しておらず、それに伴って、関連会社も鉄道事業に直結する会社しかない。

 連結決算の対象となる主な企業を挙げると以下のようになる。

社名業務内容
八浦鉄道鉄道業
水澄登山電鉄鉄道業
湘南軌道エンジニアリング㈱
Shonan Track Engineering Company
線路設備の工事およびメンテナンス
湘南電気エンジニアリング㈱
Shonan Electric Engineering Company
電気設備の工事およびメンテナンス
湘南ビルエンジニアリング㈱
Shonan Buildings Engineering Company
鉄道施設やビル、機械類のメンテナンス
湘南車両エンジニアリング㈱
Shonan Rolingstocks Engineering Company
車両基地における車両整備・清掃
南西商事㈱駅構内における売店・飲食店等の営業
鉄道資材の取引仲介・リース
駅・車内広告の販売

 「湘南…」の4社は南武鉄道との合弁会社で、営業エリアを等しくする同社との連携により鉄道の運営を効率化する目的で平成11年に設立された。鉄道営業の面ではライバル関係にあっても、運営コストの削減に関しては協調路線を採っているわけである。

 この4社は、いずれは関東地方の公民鉄全社に同様の連携を働きかけ、鉄道運営に関する総合的なサービスを提供する企業グループの構築を目指していると言われている。

 南西商事㈱は、南西急行グループの運輸外収入を支える重要企業で、南西急行電鉄本体の定款に書かれていないあらゆる事業を営んでおり、グループ外との取引拡大にも取り組んでいる。

 以上のように、南西急行は、関連会社を強化・拡大することでグループとしての収益力を高めている。一方で、他の鉄道会社が実施しているような駅運営の子会社化やメンテナンス業務の完全外注化は行っていない。

 南西急行は同じ社内でも業務分野別に異なる賃金体系を構築しているので、細々とした分社化による効率化は必要なく、鉄道事業に関するノウハウを社内で保有する方針を継続している。

6.妄想の解説

 本項は、「南西急行電鉄研究会」の特徴的なコンテンツの一つでしょう。世の中の多くの架空鉄道サイトがプレスリリースだの何だのをアップしているのに、それを出している「鉄道会社」をイメージさせる材料を何も開示していないというのはおかしなものだ…というのが筆者の思いです。

 南西急行電鉄株式会社の組織上の特徴としては、いわゆる関連事業(バス・タクシー、物流、不動産など)の比率が小さいことが挙げられます。これは会社の成り立ちによるものですので今後も設定を大きく変えることは無いでしょう。むしろこの会社は他社と提携していく(今のビジネス用語でいう「コラボレーション」って奴ですね)のが企業行動の基本になっています。

 また、車両部門と運転部門を切り離して、前者を「技術局」、後者を「営業局」に所属させているのも現実世界にはあまり無い組織構成でしょう。筆者は、列車を運転するというのは駅の社員と同様の(単なる)営業活動であると考えており、SLの時代ならまだしも、運転部門が鉄道会社において特権階級的に扱われているのには違和感を感じていました。そこで、南西急行の前身3社は当初から電気運転であったこと、また、かなり以前から女性社員を運転職場に採用していたという設定をこしらえて、ソフトな社風であることをイメージさせていたわけです。

 ただし、この組織構成としたことで技術部門が非常に大きな組織になってしまいました。2015.10.03の更新でこのあたりを改正し、技術部を技術局に昇格させ、設備・電気・車両の3つの部を設けて管理体制を強化しました。



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