ダイヤの変遷Ⅵ
toratora.wikiは2023年3月31日をもってサービスを終了します。本項では令和に入ってからのダイヤの変遷について述べている。現行ダイヤについてはダイヤ研究室を参照。 |
ダイヤ研究室 ダイヤの変遷⇒Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ・Ⅴ・smileⅥ |
1.令和2年3月14日ダイヤ改正
今改正は、東京線(緩行線)の平日朝ラッシュ時のダイヤパターン変更が最大の目玉となっている。コロナ禍の中で実施したため、改正の一ヶ月後には需要減を受けた縮退ダイヤに移行しており、このダイヤを全面的に適用したのはわずかな期間に過ぎない。
(1)東京線(急行線)
A 【平日】・【休日】渋谷発7時台に下り区間急行2本を増発
新東京メトロ谷町線北千住始発の不定期特急ひよどり71・73・75・77号の4本のうち、75・77号として運転していたスジを渋谷発→美咲行の区急に変更(詳細はこちら)。この2本は、6~7時台の新宿~目黒台間の普通を旗塚~目黒台間のピストン運転にサービスダウンしたことで捻出した編成を充当したものである。当然ながら目黒台線の利用客から不評を買っているが、現実に混雑の激しい東京線快速・急行の救済を優先した形になる。なお、71・73号は引き続き多客時に運転され、原則として6400系Bayside Express仕様車が充当される。
また、湾岸区間から美咲への通勤需要に対応するため、区急4本を新成原行から桂木町行・館川町行に延長(詳細はこちら)。平成25年12月ダイヤ改正で短縮された列車を少々形を変えて復活させたことになる。
B 【平日】・【休日】夕方時間帯の輸送力増強
東京線のいわゆる湾岸区間の夕方時間帯は成原ポートシティおよびKDRから神津・東京方面に帰る乗客が集中するため、それまでにも上り区急や臨時特急の運転等の対策を打っていたが、この改正では上り区急を8本から10本に増強した。
C 【平日】・【休日】KDRからの帰り客対応の強化
Bの区急の運転を終えた後の夜間帯におけるKDRからの帰り客対策として、海浜公園→神津間をピストン輸送する区急を臨時列車として新設定した。この時間帯は、特に平日は帰宅ラッシュがまだ続いていて狩り出せる車両が無く、通勤用車両2本を紅林検車区から引っ張り出して充当するという異例の措置を行った。4扉車を3扉車用のホームドアに適合させるため、各車で両端の2つの扉のみを開閉するなどオペレーション面でも特殊なことをしている。コロナ禍の影響でこの施策を実施したのは2020/3/14・15の2日間のみであり、すぐに運転中止の憂き目に遭った。それ以後も復活していない。
D 【休日】朝時間帯に上り区間快速を2本増発
東京線は、休日の上り方向でも狩野・日ノ出町付近の工業・物流地区へ向かう通勤需要があり、両駅に停車する快速が15分ヘッドでは輸送力が足りていないという指摘がかねてからあった。そこで、今改正では通勤客のピークとなる7時台に新成原→渋谷間で2本の区快を新規設定した。早朝・深夜帯以外で区快を運転するのは初めてのことである。
この列車が快速ではなく区快となったのは、安本・新長坂から日ノ出町・狩野へ向かう通勤客の利便を考慮したもので、湾岸地区内の相互の移動需要が大きくなっていることの証左と言える。
しかし、コロナ禍の拡大により通勤需要が急減したため、この列車は次の令和3年3月ダイヤ改正で早々に廃止されてしまった。
E 【平日】・【休日】夕方時間帯の上り特急を新成原・海浜公園に追加停車
下りに比べ乗車率が若干低い特急の利用促進策として、今回のダイヤ改正では、長年にわたり営業サイドが要求し輸送サイドが拒否していた(停車駅を増やすとダイヤ乱れに帯するロバスト性が低下し、乗務員のワークロードが増大する)上り特急の新成原・海浜公園への追加停車がついに実施された。同じ列車を両駅に停車させるのではなく、新成原停車が16~18時台、海浜公園停車が19時台以降と、駅と時間帯による需要の違いに対応して設定している。
F 【平日】・【休日】早朝・深夜の特急ひよどり51~54号を定期化
休日早朝の上京列車として運転されてきた臨時特急ひよどり52・54号と、その前日の送り込み列車である深夜帯下りの同51・53号を定期列車化。これは需要増への対応というより、目黒台運転所への夜間留置を減らすための回送列車を営業運転としたものである。
(2)青海線・水澄線
A 【休日】一般用8両編成の運用を青海線・水澄線で完全分離
従来、休日午前中に青海線・水澄線で運転される上り準急は、美咲において「青海線から到着→水澄線へ出発」あるいはその逆で折り返していた。これは美咲のホーム使用スケジュールを最適化するためだが、青海線内で輸送障害が発生すれば即座に水澄線に影響が及ぶ(逆もまた然り)というハイリスクな運用であり、桂木町または館川町に特発用の編成を用意しておくなどの対策が必要であった。
今回のダイヤ改正では、休日朝時間帯に青海線・水澄線から東京線に直通する区急の列車配置を入れ替え、美咲駅青海線・水澄線ホームの使用スケジュールを全面的に見直してこの問題を解消した。
ただし、これにより八浦駅・矢積駅場面では朝方上りの急行と区急の発車時刻が近接し、先行する急行の混雑が激化するという副作用があり、さらに東京直通列車の時刻が15分ズレたため青海・水澄線双方の沿線利用者の生活パターンへの影響も大きいものがあった。加えて、青海線鶴神温泉→美咲間普通1本が八浦にて、水澄線戸張→美咲間普通1本が矢積にて分断され、利便性が低下している。ダイヤ乱れのリスクを回避するためには致し方なしというべきか。
B 【平日】【休日】深夜時間帯のダイヤ見直し
東京線→青海線・水澄線直通急行の最終便を区急へ種別変更し、青海線美咲→八浦間普通1本、水澄線美咲→御幸台間普通1本を削減。さらに、青海線青海ヶ浦→美咲間普通を八浦行に、水澄線水澄→美咲間普通を矢積行にそれぞれ短縮して両線の終電を繰り上げた。これは当然ながら保守間合を拡大させるためで、働き方改革の波が鉄道のメンテナンス分野にも及んでいる。
C 【平日】【休日】特急ひよどりと青海線・水澄線との接続改善
- 上り
- 早朝の特急ひよどり54号は、桂木町始発として青海線の上り普通列車からの同ホーム乗換を可能とし、さらに美咲で水澄線ホームに着発して水澄線の上り普通列車からの同ホーム乗換ができるようになっている。今改正ではこれと同様の取り扱いを深夜時間帯の上りの特急ひよどり6本についても実施し、「なぎさ」「ひびき」の運転が終了した後の利便性を向上させた。
- 下り
- 今改正から、早朝のひよどり6本を美咲の青海線ホームまたは水澄線ホームに到着させて、普通列車への同ホーム乗換ができるように改善した。ただし、桂木町も館川町も残念ながら下り方向では同ホーム乗換ができないので、上りのように青海線・水澄線両方の普通列車に同ホームで接続することはできず、下りひよどりは美咲行のままとなっている。
D 【平日】普通・快速急行の美咲空港延長運転
- 上り
- 6時台に美咲駅に到着する普通2本(青海線1・水澄線1)を美咲から美咲空港折り返しに変更して延長運転。これは美咲の青海線・水澄線ホームを空けて、前述の下り特急ひよどりと普通列車との接続を可能にするための措置である。また、8時台の普通4本(青海線2・水澄線2)・快急4本(同)を美咲空港へ延長。こちらは美咲到着後に関浜車両所へ回送していた列車を営業運転したもので、美咲空港に終着列車の降車確認(列車から乗客が全て降車したことを確認すること)を行う要員を配置したことで実現した。これは単なるサービスアップではなく、美咲での乗換客を極力減らし混雑を緩和させたいという、少々差し迫った事情がある。
- 下り
- 関浜車両所から回送し美咲から営業運転に入る普通4本(八浦行2・矢積行2)と準急4本(青海ヶ浦行2・水澄行2)を美咲空港始発とした。こちらは純粋にサービスアップを目的としたものだが、始発列車を奪われる美咲からの乗客からは不評を買うことになった。
(3)NEWS-Line
A 平日朝ラッシュ時北行(上り)に千鳥式ダイヤを導入
従来は旗塚到着場面で7分30秒間に準急1・各停2本を運転していたが、準急は東仙寺・三泉・池尻の3駅で先行する各停を追い抜くため乗客が集中し、各停は列車により1~2回の準急待避があるので所要時間が伸びるという課題があった。
そこで今改正では、新たな列車種別として通勤準急・通勤快速を追加し、急行線の湾岸区間と同様に、列車別に停車駅を分担して全体的なスピードアップを図る「千鳥式運転」を導入した。停車駅は通勤準急が神津・藤田・乾・槙坂・有川・紅林・三泉・岩崎・新杉原・池尻・旗塚、通勤快速が神津・新神津・藤田・末木・乾・紅林・東仙寺・姫川・香堂・三泉・旗塚の各駅。それぞれを紅林以北において5分ヘッドで運転し、列車順序が変わらないようにしてダイヤ乱れに対するロバスト性を大幅に向上させている。
所要時間は、紅林~旗塚間で準急=12~13分、普通=22~25分(準急・普通トータルでの平均は19分50秒)に対して通勤準急=17分・通勤快速=18分で平均は17分30秒となり2分20秒短縮されている。
この新ダイヤで注目されるのは、緩行線紅林以遠に初めて通過列車が設定されたことであろう。新神津・末木・槙坂・有川の4駅は朝ラッシュ時であっても利用できる列車が8本/時となり、日中と変わらなくなった(従来は準急・各停各8本であったから半減!)。また、東仙寺・姫川・香堂・岩崎・新杉原・池尻の各駅も従来はラッシュ時に16本/時の各停が利用できたのが12本/時に減った。
このダイヤの主眼は、東急荻塚線に吸い込まれた緩行線の乗客を奪い返すために速達性を向上させる点にある。特に東急との接続駅である香堂については、旗塚までの所要時間が各停で15~16分であったものが通勤快速で11分となり、画期的な短縮と言える。
しかし、沿線自治体は新ダイヤ発表直後に大騒ぎになった。所要時間短縮のメリットよりも、停車本数が大幅減となる駅があるデメリットが過大に受け取られたのである。また、(朝ラッシュ時という限定した時間帯ではあるが)各停が無くなり乗車駅・降車駅の組み合わせによっては乗換が必須となったことについても、「不案内な老人に不親切」というわけのわからない論調でマスゴミが批判のキャンペーンを張った。改正内容があまりにも大きく、ダイヤという一般公衆には少々理解が困難なものをサービスアップしても報われないという泣ける実例ではある。
B 平日朝ラッシュ時南行(下り)のダイヤ見直し
朝ラッシュ時の南行の「返しダイヤ」は、ガラガラの列車を紅林検車区や藤田電留線に収容しつつ日中のダイヤパターンに移行していく漸減ダイヤ(都心から離れるほど列車本数が減っていくダイヤ)となり、上り方向のような千鳥式運転は適さない。
そのため、今改正では下り線に本線準急1本・神宮線直通各停1本をそれぞれ5分ヘッドで運転するようにした(従来は7分30秒に準急1・各停2)。各停の池尻・東仙寺での準急待避を取りやめたことで旗塚→紅林間の準急の所要時間は12~13分から16分に伸びている。一方、各停の所要時間は22~25分から22分に短縮された。
なお、返しダイヤ時間帯の下り準急の3本に1本は藤田行となる。従来は藤田電留線に収容する列車は紅林以遠を回送としていたが、今改正で初めて藤田が行先として登場した。
C その他事項
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